彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)





坂口さんと別れてから帰路につく。



(どうしようかな、このサプリメント・・・)



強制的に押し付けられたサプリメント。

彼女の話が本当なら、すごい薬をもらったことになる。



(体の疲れが取れて、疲労を感じなくなるなら・・・瑞希お兄ちゃんにあげれば喜ぶかな?)



疲れて転寝してる姿を見ているので、なんとか疲れを取ってあげたい。

でも・・・



「このサプリメン、成分表示がない・・・」



透明な袋に入ってるだけの薬を見てるうちに冷静になる。

いくら試供品とはいえ、普通の錠剤なら成分表のシールぐらい貼ってるでしょう?

それが、透明な袋に薬だけ入れて渡すって・・・あやしい。



(瑞希お兄ちゃんにアレルギーがあるとは聞いてないけど、何が入ってるかわからないものを飲ませられない。)



私も飲みたくない。

なによりも――――――



―お金はいらないから心配しないでね。―


(ただというのが、気に入らない・・・!)



―うはははははは!―



0円生活を送る友達を思い出し、なおさら雲散臭い気持ちになる。



(とりあえず・・・・持って行って、瑞希お兄ちゃんに見せてみよう。)



こととしだいによったら、坂口さんとの今後の付き合いを考えないといけないしね。



〔★鑑定を任せた★〕



「菅原さん、バイバイ。」

「あ、バイバイ。」



一緒に授業を受けてる子が声をかけてくれた。

同じ学校の奴らがいないおかげで、私がいじめられてることを誰も知らない。

みんな親切にしてくれる。

もっとも、あゆみが丘学園の生徒が、塾に通うようなことはない。

家庭教師をつけるのが、あいつらは普通らしいから。



「ゆき、迎えに来たわよ!」

「待ってたよ、お母さん!」



(・・・みんな、お迎えが来てるんだ・・・)



家族が待っている車へと向かうクラスメート達を見て思う。



(うちは無理だろうな・・・)



私を塾に入れるため、お母さんは仕事の時間を増やした。

お父さんもお給料が増えるように頑張っている。




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