明日死ぬ僕と100年後の君
「そうしたら、ボランティアなんてしなくていいし。そんなものしなくても、いくらでもわたしの命をあげる。特にやりたいわけでもないボランティアをムリにしなくてもよくなるし、明日誰から命をもらおうなんて考える必要もなくなる。わたしが絶対あげるから。焦ることもなくなるんだよ」
わたしは必死に何をしているんだろう。
自分の命を売り込むなんて。
営業という仕事をする人は、こんな気分なのだろうか。
「それって有馬にとっては良いこと尽くしでしょ? だから……」
「悪いけど」
有馬が一歩、後ろに下がる。
たったそれだけで拒絶されたことを感じ、信じられない気持ちで彼を見た。
「どうして……?」
喜ぶだろうと思っていた。
人の命を食べなければ、たった1日しか持たない有馬の身体。
きっと毎日崖の縁に立たされているような気持ちで、怯えながら過ごしているだろう。
だから苦労せずにわたしの命を食べられることになれば、有馬は安心するはずだ、と。
拒まれるなんて、思いもしなかった。
「施しなんていらないよ。偽善には偽善のプライドがあるんだ」
「偽善の、プライド……?」