明日死ぬ僕と100年後の君

「……ごめん。どういうこと?」



不思議そうな有馬の問いに、嬉しくなる。

わたしが教えてあげられるのが、なんだか誇らしかった。



「だって有馬の名前にも、生きるって漢字が入ってじゃん」



有馬夕星。

星は日偏に生きると書く。


わたしも最近気づいた、ふたりの共通点だ。


琥珀色の瞳が見開かれ、奥の方でチカチカと輝いたのがわかった。



「全然、意識したことがなかった……。僕の名前に、生きるって漢字が?」

「うん。実はね、調べたの。星っていう漢字の成り立ち。草木が地上に生じた象形から出来た字なんだって。不思議だよね。星は空にあるのに、成り立ちは大地なんだよ」



もしかしたら、大地からしっかりと生えた木と、たわわに生った梅の実から生まれたりしたのかもね。

わたしがそう言うと、有馬は「だとしたら出来すぎだね」と、いまにも泣き出しそうな顔で笑った。



儚い人だと、はじめは思った。


でもいまの有馬は、この梅の木みたいにしっかりと、大地にたくましく根をはっている。


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