明日死ぬ僕と100年後の君
指の長い白い手を、そっと握る。
同じ力加減で握り返される。
生きていこう。君と一緒に。
人生は悲喜こもごもで、どうしようもなくなり、足を止める時もあるだろう。
そんな時は、ふたりで焦らず立ち止まろう。
不安や罪悪感という荷物を、半分ずつ背負ってまた歩き出せばいい。
悲しみもあれば喜びもあるらしいので、そのうち喜びが荷物を減らしていってくれるはずだ。
君がわたしの為に生きてくれるなら、わたしは君のために生きていく。
死ぬことは、生きること。
最後まで君と、生きていこう。
夏色に変わり始めた風に吹かれ、梅が枝を揺らす。
木のざわめきの間に、猫の鳴き声が聴こえた気がした。
END