エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
激動の1日を過ごしたその日の夜、私は実家を後にして東京に戻る新幹線の中にいた。

東條さんと私の中では契約結婚が成立する形になったものの互いの両親にはまだ伝えてはいない。勿論、東條さんと結婚するにしても契約結婚だと言う事は口が裂けても言えないけれども。

今日は顔合わせと言う形だけでお開きになったが、東條さんと私がそんな契約を交わしていた事を両親たちは知る由もない。

ふたりきりになってからなかなか戻って来なかったのは、意気投合して話が弾んだからだと勘違いしているようだった。

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「……疲れた」

二時間後、アパートに着いて部屋に入った途端、思わずそんな一言が漏れた。ずっと気を張り詰めていたせいか自分の家に帰って来たら緊張の糸がプツリと切れて疲労感が襲ってきた。そのままソファーに座り込み放心状態になる。

何もする気にはなれない。シーンと静まり返ったその場所にいると急に不安な気持ちが込み上げてきて私は咄嗟に携帯を手に取り凛華へと電話を掛けた。
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