エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
プルルルルー

「もしもし? お見合いどうだった? どんな人だった?」

何度目かのコール音の後、電話に出た凛華はなぜか興奮気味だった。

「驚かないで聞いてね? 実は、お見合いの相手なんだけど東條さんだったの」

「えーー! 東條さんってあの東條さん?」

驚きに満ちた凛華の声が頭に響いた。そりゃそうだよね。誰だってこんな偶然が続いたら驚くよね。

「そう。あの東條さん」

「それって凄くない? これはもう運命ってやつでしょ!」

「運命……?」

「そうだよ、絶対。イケメンでエリート弁護士で、しかも御曹司だったなんて最高の見合い相手でしょ」

「そうかなぁ……」

「勿論、引き受けたんでしょ? 紗凪、東條さんになら紗凪の人生賭ける価値があると思わない?」

「うーん。引き受けたっていうか一年限定の契約結婚みたいな話になってるの」

「何それ?」

「実は向こうにもこのお見合いを断れない理由があってね、親には内緒なんだけど互いの目的の為に一年間だけっていう約束で結婚する事になりそう。それで別れても融資は継続してくれるって。ねぇ、どう思う?」

「そんなの私なら迷わず結婚する」

凛華は迷う事なくそう言いきった。
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