エリート弁護士は契約妻への激愛を貫きたい
価値観の正反対な私たちが同居することに不安を覚えながらも、あれから話はとんとん拍子に進み、今日から東條さんのマンションで同居生活が始まろうとしていた。

そして大安吉日の明日、東條さんと私は区役所に婚姻届を出し、その後に東條家の皆さんとホテルで食事をすることになっている。

「今日からお世話になります。宜しくお願いします」

「こちらこそ宜しく頼む。さぁ、まずは中へどうぞ。ちょうどさっき君の荷物が届いたところだ」

「あ、はい。お邪魔します」

私を出迎えてくれた東條さんに促されて私は幾ばくかの緊張を覚えながら中へと足を進めた。

玄関からリビングに繋がるドアの先、ダークブラウンの家具で統一されたモダンテイストのリビングが目に飛び込んできた。

お洒落なガラス天板のテーブルにグレーのカーテン、肌触りの良さそうなグレーのラグマット、壁に飾られたシックなファブリックパネル、そしてリビングのセカンドライトとして置かれた布製のシェードで覆われたテーブルランプから放たれるやわらかな光がどこか安心感を与えてくれる、そんな落ち着いた雰囲気のあるリビング。

スッキリと片付けられた室内にあまり生活感は感じられなくて東條さんの几帳面な性格が読み取れる。
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