綺麗なブルーを描けません
あたしは、彼女が呪縛をかけている旦那さんの、唯一魔術の利かない存在だったんだ。

きっと、柊くんは言ってしまってるんだ。

彼女の方が、あたしと飲みに行くことを許可してくれてなくても、柊くんの方が、そこだけは譲らなかったんだって。

…いろいろと、一目で悟らされる、目つきの鋭さ。

…怖いな。

あたしは、大人しく座り込んで、お兄さんに向き直った。

「あいつ、今、ここに向かってるよ」

…いないんだ。

中にいるって言ったのに。

「さっき、柊くんいる?って聞かれたけど、オレも柊なんだよな」

…。

あたしは、黙って、彼を睨んだ。

< 103 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop