綺麗なブルーを描けません
「もう、帰ってますよ。...昨日一緒に飲んでたけど」

ここまでは、奥さんも知ってるハズだから、喋っていいハズ。

「帰ってないみたい。飲みに行ってたってこと、教えても構わない?」

「知ってますよ。あたしと一緒だったってことも」

柚葉さんはピクッと反応する。

ゆっくりとあたしに視線を向けて、ちょっと考えて、

「それ、もしかして、柊が言ってた?」

「うん。ちゃんと言ってあるって。何か、あたしだけは一緒に飲むって言っても許してくれるんだって」

柚葉さんは、無言で頭を抱えた。

「...ちょっと、ここ出よう」

ブースの中でこっそり喋ってたのだけど、限界。

あたしと柚葉さんは、ブースを出、漫画喫茶のコーナーをでて、通路に出た。

「...柊、ずっと嘘ついてたんだと思うよ。

彼女、柊がエマの話をすることさえ嫌がってたもん。

すごい焼きもちやきって言うかさ...

その彼女が、エマと飲みに行くことなんて、許すはずないじゃん。

むしろ、他の子なら許せる場面でも、エマだけは許さないと思う」

…え?
どういうことだ?
だって、あたしならなぜか許されるんだって、真逆の事言ってなかったっけ?
あれは…
うそ…?

超真面目な柊くんに、あたしは、嘘をつかれてたの?

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