天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



一瞬、耳を疑った。

何か聞き間違いでもしたのかと思った。


「……バカみたい。最近のゆづくんはあなたのこと考えてばっかり。だからダブルデートに誘って、あなたと幼なじみくんが仲良くしてる姿を見せて、諦めさせようとしたのに…むしろ逆効果だったみたいだし」


すると、唯乃さんのスマホが震えた。

画面を確認すると、また、ため息をつきながら。


「なによ……唯乃のことでこんなに必死になってくれたことなんかないくせに……っ」


独り言をつぶやいたかと思えば。


「……もも!」


聞き覚えのある声が、耳に届いた。


そこにいるはずがない声の主に、驚きながら、声がするそうに視線を向けると、いきなり抱きしめられた。

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