天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
状況が全く飲み込めないわたしに、唯乃さんが。
「さっきゆづくんにあなたがケガしたって連絡したの。ちょっと大袈裟に言ったら、すぐに飛んでくるし。ほんとゆづくんらしくない」
「……骨折れたって聞いたんだけど」
「え、いや……えっと、手首を少しひねっただけで」
包帯が巻かれた手首を見せると、安心した表情をして。
「……なにそれ。すごい重症みたいな連絡きたから焦ったし」
そんな天ヶ瀬くんに対して唯乃さんがズバッと。
「ほんとバカみたい。そんなにこの子のことが大切なら手放さなきゃよかったじゃない。唯乃に気持ちがないゆづくんなんて、そばにいてくれても全然嬉しくないんだから……」
そう言うと、さらに。
「もうそんなゆづくんは必要じゃない……いらない。だから好きにすればいいじゃない……。もう、この傷のことでゆづくんを縛ることはやめてあげるから……っ」