守りたい人【完】(番外編完)
「鍛冶君?」


何も言わない鍛冶君が心配になって、顔を覗き込む。

すると、今まで下を向いていた鍛冶君が、その大きな瞳を持ち上げて私をじっと見つめた。

そして。


「志穂ちゃんは、いつも朝比奈さんばっかりやな」


力なく言われたその言葉に、返す言葉が詰まる。

そんな私に畳みかけるように、鍛冶君は口を開いた。


「いつも朝比奈さんの事目で追うとるし、朝比奈さんと喋る時は妙に楽しそうやし、こうやって2人でおる時も朝比奈さんの事ばっかり話すし」

「そんな事……」

「そんな事ない? でも、それは自分で気づいてないだけや」

「――」

「でも、俺には分かるで」

「え?」

「ずっと、見てたから分かる」


そう言うや否や、真剣な顔になった鍛冶君が真っ直ぐに私を見つめる。

その見た事もない表情に言葉を無くす。

そして――。


「俺は、志穂ちゃんが好きや」


告げられた言葉に、目を見開いた。

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