守りたい人【完】(番外編完)
何も言わない私の目を真っ直ぐに見つめる鍛冶君の大きな瞳。

柔らかそうなクリンと巻いた髪が、夜風に乗って揺れる。


一瞬、頭の中がフリーズしてしまった。

だけど、すぐに我に返ってケラケラと笑った。


「も~ビックリさせないで下さいよ! また冗談ですか?」

「――」

「ダメですよ! そう簡単に好きなんて言っちゃ」


ケラケラと笑って、何も言わない鍛冶君の肩を叩く。


そうだ。

ここ最近は毎日のように『付き合って』だとか『惚れた』だとか、言って騒いでいた鍛冶君。

だから、さっきの『好き』もそれの延長線上に違いない。

ビックリして損しちゃった。


騙された~と思いながら、ケラケラと笑う。

それでも、私をじっと真剣な顔で見つめる鍛冶君の表情は変わらない。

そして。


「――んっ」


不思議に思って首を傾げた瞬間、突然グイッと腕を引かれた。

え? と思った時には、目の前に長い睫毛を伏せた鍛冶君の顔があった。

そして、唇に感じるのは温かい鍛冶君の唇。

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