守りたい人【完】(番外編完)
「何か喋って~な」
それでも、驚いて口も聞けない私を見て、鍛冶君は真面目だった顔を一気に緩めてケラケラと笑った。
その表情がいつもと同じで、少しホッとする。
「ご、ごめんなさい」
「その『ごめんなさい』は何のごめんなさい?」
「あ、いえ、何も言わなくての方です」
「なんや、焦ったわ」
視線を泳がせて口ごもる私にケラケラと可笑しそうに鍛冶君は笑った。
それでも、ゆっくりと優しい笑顔に変わって、まるで慈しむように私の頬を指で撫でた。
触れられた事にピクリと体が反応するが、何も言わずに鍛冶君を見つめる。
「返事を聞く前に、俺の話聞いてくれへんか?」
「話?」
瞬きを繰り返す私を見て、小さくコクンと頷いた鍛冶君。
そして、私の頬から指を離した。
「俺、ここに来たのは姫野荘のHPを見たからやって、志穂ちゃんに言うたやん?」
その言葉にコクンと頷く。
確か、初めて出会った時に、そう言っていたのを覚えている。
昔から田舎暮らしに憧れていて、HPでたまたま見つけたうちのHPを見て、勢いのまま入居を決めたって。