クールな御曹司の契約妻になりました
「千裕さん、あの郵便物の差出人っ……」
郵便物の話題を口にした私を、向かいに座った千裕さんは人差し指を口元にあて私の言葉を制する。
千裕さんが一気に顔を強ばらせ、半個室になった店内を一度ゆっくりとぐるりと見回す。
誰も聞いてる人なんていない。
そう確信した千裕さんは重たい口を開く。
「成松が今、調査してくれている。……香穂には申し訳ないが、今はそれだけしか言えない」
千裕さんの答えになんだか胸がモヤついた私は、重ねて質問を付け足した。
「千裕さんに、心当たりは?……例えば、萌さんとか」
「萌?!」
思わず口が滑った私の言葉と、思いがけない『萌さん』の名前に千裕さんは、素っ頓狂な声をあげる。