好きな人に恋愛相談されました。
駅までの10分間を手を繋いで歩く。
隣には高梨が俺とは違う歩幅で、俺よりも少し忙しそうに足を動かしている。
もう少し歩く速度を落とそうと、俺はこの数分で何度も調整しているところだ。
こうするのが実はずっと夢だったし本当に幸せで、勇気を出して告白してくれた高梨には感謝しかない。
「高梨」
「うん。なぁに」
「くれたチョコ、一緒に食お」
「いいの? 堺にあげたものだし、ひとりで全部食べちゃってもいいんだよ」
「高梨、甘いもん好きだろ。だから一緒に食いたい」
「うん。ありがとう。優しいね、堺」
「そんなことねぇって。高梨の笑ってる顔、見たいだけだし」
さらっと「高梨の笑顔が好き」だと伝えると、高梨は嬉しそうに笑ってくれる。
「そうだ。じゃあ、いつかポッキーゲームしよっか」
「は?」
「ふたりで両端から食べていくやつ! ドキドキだね」
手を繋いだままじゃれるように腕に絡みつかれ、その密着度合いと、「ポッキーゲームをする」という言葉の意図に俺の心臓は速度を上げた。
視線を落とすと高梨の唇が目に入る。
……高梨の唇ってぷっくりしてて、すっげぇやわらかそうだよな。触りてぇ……って、いかんいかん。
あらぬ方向に思考が進みそうになってしまった。
想像以上に高梨は俺を翻弄する天才らしい。
こんな調子だと本当にいつか襲ってしまいそうだなと、ちょっと心配になった。