甘い脅迫生活
私は決して、自己評価が低すぎるということはないと思う。
だって冷静に自分を見たって私は、普通の女だ。
優雨の謎の趣味に引っ掛からなければきっと、優雨みたいな人種とは一生無縁の世界で生きていただろう。
そんな私を、優雨の妻だからといって褒めなくちゃいけない。逆に私があの人たちに謝りたいくらいだ。
だけど、厄介なことに。
「美織。綺麗だ。」
「……。」
この西園寺優雨自身が、私にまっすぐ愛を伝えてくるものだから。
少しだけ、うぬぼれてもいいのかな、なんて。
普通な私は、すぐ勘違いしてしまう。
優雨と、何度もキスをした。あの日始めたキスは、お互い、癖になったかのように毎日、毎日、繰り返す。
好きという言葉は交わされないのに、なぜだろう。優雨のキスは、愛情を感じる。
何度も触れたいと思った。何度も、触れられたいと思う。
その感情の行き先が誰が何と言おうと恋であるということを、私は見ないように過ごしてきた。
それなのに、蓋をした感情は溢れ出して、優雨のキスに応えている自分がいる。
抑えなくちゃと思う。脅迫で始まった私たちの関係はきっと、終わりを迎える時がくるのだと思うから。
それなのに。
やめられない。
優雨と紡ぐキスという行為は、まるで恋愛のように、甘くて苦い。