甘い脅迫生活
誰もが優雨に答えを求めていた。
それがどんな理由であれ、優雨に応えて欲しくて、参加者の人々は優雨に笑顔を振りまいた。
だけど、優雨も同じ笑顔なのに、その答えをくれることはない。
「……山田、かな。」
「え、一人ですか?」
「ああ。」
優雨は、とても寂しい人なのかもしれない。地位のせいもあるけれどきっと、それ以外の理由が、優雨の孤独を深めている。
大切な人はいますか?そう聞かれて、人はどれくらいの人を思い浮かべられるだろう?
誰だって両親、友達、恋人、思い浮かぶ人はたくさんいるはず。
だけど優雨には……。
「ああ、山田だな。」
「そうですか。」
こんなにも人に囲まれている優雨には、大切な人がほぼいない。
「それなら、いいんじゃないですか?」
「ん?」
こんなにも優雅で、美しくて、自信に溢れた人の周りには、当たり前に人が集まるというのに。この人が心を許す人は、ほとんどいない。
「山田さんが、認めてくれてるなら。」
「何をだ。」
でもきっと、優雨が変わる必要なんてないのかもしれない。
「私たちの、結婚、です。」
「っっ、」
山田さんが大切なら、それでいい。
だからこそ山田さんも、優雨に応えているのだと思うから。