甘い脅迫生活
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「ん、」
重い瞼を開けば、熱が高いのかまず暑さを感じた。同時に襲う強い頭痛で顔はしかめっ面。
身体を起こそうにもなぜか動かず、まだ目覚めていないらしい身体は手を上げるのがやっと。なぜか身体の上には毛布。誰かがかけてくれたんだろうか?
周りを見渡せば、どこかの廃工場のような場所で。自分がなんでこんなところにいるのか分からなくて、ますます混乱した。
目だけを動かして周りを見るけど、もう使われていなさそうな機材しか目に入らない。
そして、なにか、古い油のような、そんな匂いが鼻を掠めて、不快な匂いに気分が悪くなった。
今度こそ身体を起こそう。そう思って頭痛と戦って身体を動かしてみる。
そこでようやく。
「え?」
自分の足がロープで縛られていることに気付いた。
「気が付いたか。」
「っっ、」
突然沸き上がったような声に身体がビクリと反応する。たくさんの機材の間、暗闇から現れたのは、見たこともない、中年のおじさんだった。
「あ、の、」
誰?そう聞きたいのに、熱のせいか意識は朦朧としたまま。
「まだ熱が高い。可哀そうだが、これで我慢してくれ。」
おじさんが私の口元に何かを当てる。身体の動かない私は拒否する暇もなく、口の中に何かを押し込まれてしまった。
続いて無遠慮に流れ込んできた水は、私の軌道を塞ぐ。
「ぐっ、ゴホッ、ゴホッ、」
「ああ、すまない。」
慌てるおじさんが無遠慮にその辺のタオルで私の口を拭く。掠めた古油の匂いに、一気に吐き気が込み上げた。