甘い脅迫生活
「う゛っ、」
「っっ、大丈夫か!」
得体の知れない何かを、今吐いた水ごと一緒に出せていればいい。
そう思う私とは裏腹に、おじさんはなぜかすごく焦っていて私の背中を一所懸命さする。
「悪かった。キツイ思いをさせた。」
「……。」
おじさんの顔をジッと見つめた。キツイのは私なのに、なぜかおじさんの方がきつそうで。
状況から見て私は、このおじさんに縛られ、ここにいるわけだけど。本当は犯人は他にいて、このおじさんは無関係なのかも?なんて、思わず思ってしまいそうなほど、おじさんから悪意というものが感じられない。
「縛りがきつかったかな。」
そう言うおじさんが私の足元をしきりに気にする。朦朧とした意識の中、思わず笑みが零れた。
少しずつ薄れていく意識。そんな中でおじさんは縛っている私をしきりに心配している。
このおじさんがもし、私を誘拐したとして。犯人のくせに、人質の心配なんてするだろうか?そんなこと……
「現実に、あるわけ、ない。」
「え?」
どんどん、闇の中に引き込まれていく意識。暗闇の中、奥へ奥へと潜っていく。
行きついた先には、再び、闇。