バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
 私は下げた頭をちょっとだけ浮かして、目の前の副社長を盗み見た。

 副社長は私の方など見もしないで、イライラと前髪を掻き上げながら正面入り口から見える外の様子ばかりを気にしている。

 その不機嫌さを隠そうともしない顔が、いつもの王子然とした感じとはまた違った魅力ではあるけれど。

 でも、なにその、激しく嫌味な言い方は。

 だらしない顔って、そりゃ多少締まりのない顔をしてたかもしれないけど、いきなり王子と遭遇したら平民がびっくりするのも当然でしょ?

 それと、若葉マークつきで悪かったですね。私だって好きで半年間も若葉マークつけてるんじゃありませんから。

 外したくても、一年経たなきゃこのマークは外せないんですよ。こんな交通ルールみたいな社内規則作ったの、そっちでしょうが。

「おい。いつまでそうして、つっかえ棒の折れた田んぼのカカシみたいな恰好をしてるんだ。みっともない態度はやめろ。これから来るお客様に見られたらどうする」

 内心のムカつきに堪えながら、暴言をスルーしようと健気に努力している私に、副社長はまたもや余計な爆弾を落としてくれた。

 なんでこの人、いちいちこんなに私に突っかかってくるの?

 初対面なんだから喧嘩を売られる覚えはないはずだけど。
< 14 / 206 >

この作品をシェア

pagetop