バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「早く頭を上げろ。これじゃまるで俺がパワハラしてるみたいに思われるだろうが。見苦しい」

 み、見苦……!?

 パワハラ“みたい”って、これぞまさしくジャストミートでパワハラでしょ! これをパワハラと言わずして、なにをパワハラと言うの!?

「それは大変申し訳ございませんでした。それほど大事なお客様がご来館なさる連絡は届いておりませんでしたので、私のような見苦しい新人が受付当番になってしまいました」

 さすがに我慢も限界で、身を起こして早口で捲くし立てる私の嫌味を気にした様子もなく、副社長はあっさり答えた。

「俺だって、たったいま連絡を受けたんだ。こっちに通達なんかきてるはずがないだろう。筋の通らない嫌味を言うのはやめろ」

「それは、重ね重ね失礼いたしました。やはり私のような若葉マークが対応するのは荷が重いようですね!」

 語気を荒げてそう吐き捨てた後、私はクルッと背を向けてその場から退散しようとした。

 失礼な態度かもしれないけれど、失礼さの度合いで言えばあっちだっていい勝負なんだから、かまうもんか!

 イケメンなんて一皮抜けばこんなもの? あーゲンメツ。

 いくら御曹司だからって、顔とお金しか取り柄のない男のそばになんか一秒でもいたくない。

 こんな人が吐いた二酸化炭素なんかうっかり吸い込んで、性格の悪さが伝染したら大変だ。
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