バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
 副社長である自分の思い通りにならない社員は、ブライダルコーディネーターにさせないってことなの?

 こんな酷いことを言う人だなんて思わなかった!

 これまで築いてきた副社長への信頼が、音をたてて崩れていく。私は、背の高い彼と互角に渡り合うために思い切り胸を張り、厳しい口調で問い質した。

「理由を教えてください。破談になった女は、人様の結婚式に携わる権利がないとでも仰るんですか?」

「いや。お前がそうやって自分の過去に囚われて、コーディネーターとしての仕事に本気で向き合わないからだ」

 無表情な副社長の冷静な物言いに神経を逆なでされた私は、我を忘れて大声を出した。

「なに言ってるの!? 囚われて当然じゃないの!」

 私がどんなに苦しんだか、なにひとつ知らないくせに!

 貴明からプレゼントされた品を抱きしめては嗚咽し、送られた愛のメッセージを読み返しては泣き崩れ、エンゲージリングをお守りのように指に嵌めて必死に祈り続けていたあの頃を思い出すと、気が狂いそうになる。
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