バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
 心療内科に通院して処方された薬を服用しても、夜は眠れず食事も喉を通らず、水を飲んでも吐く有り様で体重が激減した。

 見知った人に会うたびに、『よりによって結婚式前日に捨てられた哀れな女』だと思われることが恐ろしくて、一歩も外に出られなくなった。

 日常生活を送ることすら困難になるほど、すべての夢と希望を打ち砕かれた私が、やっとのことで見つけた救いの道が、人様の夢と希望を叶えるブライダルコーディネーターという職業なんだ!

「私は、誰よりも真剣にブライダルコーディネーターという職業に向き合っています!」

「違うな。お前は自分が叶えられなかった夢を他人の挙式に便乗して叶えた気分になって、自己満足しているだけだ」

 驚くほど鋭い口調で素早く切り返され、私は思わず息をのんだ。

 二の句を告げずにいる私に、副社長が冷たく言い切る。

「お前は本当は、ブライダルコーディネーターの仕事なんかどうでもいいんだよ。ただ自分を可哀そうがっているだけの甘ったれだ」

 あまりにも独断的なその言い様に、眩暈がした。

 この人は、今度は私の仕事への姿勢にまで難癖をつけて、私を否定しようというの?
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