バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
 大宮様の後を追う副社長の背中を、私も急いで追いかけた。

「大宮様。別室にお飲み物をご用意いたしますので、どうぞそちらに……」

「調度品は、まあ、そこそこのクラスね。でも全体的なアレンジがダメだわ。もっと強烈なゴージャス感を打ち出さなきゃ」

 副社長の話を完全無視して、大宮様がさっそくダメ出しを始めた。

「ブーケの出来は、ありきたりね。んー、せいぜい六十五点ってとこかな?」

 花びらを指先でピンッと弾いて、彼女はクスリと笑う。

 六十五点って、うちのフラワーコーディネーターは、いろんなコンテストで常に上位入賞している腕利きなんですけど。

 この人、副社長に振られたことがよっぽど腹に据えかねているんだろう。

 無意味にプライド高そうだから、その気持ちはわからないでもないけど、お客様の前で難くせつけるのはやめて欲しい。

「あら! このCMったらずいぶんと演出が古臭……いえ、古典的なのねぇ! なんの斬新さも感じられないところがむしろ新鮮だわ。お式の演出もこんな風に原始的なのかしら」

 あれやこれやと槍玉にあげては小馬鹿にする彼女の発言に、サロン内の空気もすっかり悪くなってしまっている。

 せっかく幸せそうに打ち合わせをしていたお客様方が、暗い表情でうつむいてしまっているのを見て、私も悲しくなってしまった。
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