バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
 その言葉に、今度は副社長の眉がピクリと反応した。

 すると、般若のお面みたいに険しい顔をしていた大宮様が、してやったりと言わんばかりにニヤリと口角を上げる。

「どうせ恋人もいないんでしょ? そんな人がまともな結婚式のプロデュースなんて、できるはずない。そのくせ自分じゃいい仕事をしてると思い込んでるんだから滑稽ね」

 憑かれたように悪口を言い募る大宮様に対して、副社長は固く唇を結んだままなにも答えない。

 私は悔しくて悔しくて、両手をギュッと握りしめながら彼女を思い切り睨んでやった。

 副社長とのデートが、つまらなかったわけないでしょ? むしろその逆だったから、破談にされたことをそんなに逆恨みしてるくせに。

 断られた女性側の立場を慮って、なにも言わない副社長の思い遣りにも気づかずに彼を責めたてるなんて、どういう思考回路してるんだか。このスッポン。

「私は名取さんとは破談になったけど、こうしてちゃんと結婚が決まったわ。なのにあなたはひとりぼっち。人様の結婚式で稼いでる男が、自分の結婚はおろか恋人ひとり作れないなんて惨めよねぇ!」

 一気に叫んだ後で、大宮様は高笑いをした。

 どこまでも自分を貶めようとするその姿を見ていた副社長が、ついに我慢も限度に達したのか、すうっと大きく息を吸い込む気配をみせる。

 私はますます両手の拳を強く握りしめながら、心の中で必死に声援を送った。

 こんな人に負けないで副社長! 頑張れ! 私がついてます!
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