バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「お前、言ったよな? 『そんなの、さっさと見切りをつけて次にいくに決まってるじゃないですか』って。しかも鼻でせせら笑いながらな」

 さも楽しそうな含みのある声で言われて、私はきゅーっと身を縮こませた。

 ……はい。その通りでございます。大変失礼な態度だったと自覚、かつ猛省しております。

 でもね! 受験者は試験に受かりたくて必死なの! なのに『落ちたらどうする?』なんて、すっごく意地悪な質問でしょ!?

 それでムカッときて、売り言葉に買い言葉で、そんなセリフがボロッと口から飛び出てしまったの。

 どっちにしろ、どう頑張ってもこんな大手に受かりっこないと内心思っていたから、怖いものなかったし。

 そしたら予想外に合格通知が届いちゃって、本当にビックリした。大丈夫なのかこの会社は?って思ったわ。

 そうか。私たちが直接会ったのは大宮様事件のときだけれど、彼はすでに私のことを見知っていたのか。

 それで初対面のはずの私に対して、あんなに気安い態度だったのかもしれない。 

「俺、あのとき別室で腹を抱えて爆笑してたんだよ。まさかそんな答えが返ってくるとは思っていなかったから」

 笑いながらそんな風に言われてしまって、ますます身の置き所がない。
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