バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
 ふたりがかりの飾りつけは、三十分ほどで終了。

 清潔感のある白色や青色の小物のアクセントが、アンティークな部屋の雰囲気にとても合っている。

 これならきっと新郎新婦様も喜んでくれるだろう。

「ブライズルームはこれでほぼ準備完了だな。じゃあ一階に戻って、ゲスト用に開放するサロンの確認をするか」

 副社長と一緒に階段を下りて、エントランスホールと隣のサロンを区分けしている扉を開けて中に入り、大窓を覆っているドレープカーテンを左右に開けた。

 金とクリスタルを用いた王冠のようなシャンデリアが、射し込んでくる陽射しを反射する。

 緻密な彫刻を施したマントルピースの存在感。チェストに飾られたブロンズ製の裸婦像。

 ちょっと小振りのカップボードの中に収納されているティーセットも、味わいのある骨董品だ。

 本当にどこもかしこも素敵で、ひたすら溜め息をついている私の目に、チェストの上に置かれている蓄音機が飛び込んできた。

「副社長、これ、本物ですか? 音が出るんですか?」

「もちろん現役だ。あまり古い年代の物じゃないが」

「へー」

 巨大な朝顔のようなラッパに顔を近づけてしげしげと中を覗き込んでいると、副社長がチェストを開いて一枚のレコードを取り出した。
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