バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「亜寿佳!」
複数の乱れた足音と、副社長の叫び声が聞こえる。
見れば廊下の向こう側からメイクさんと、花婿様と、男性スタッフ数人を引き連れた副社長が血相変えて駆け寄ってきた。
「あの人よ! 早く取り押さえて!」
メイクさんが金切り声を上げ、男性スタッフが暴れる女性の体を床の上に難なく押さえつける。
奇声を発していた女性が、萎れる花のようにおとなしくなったのを見て、安心した私の全身から一気に力が抜けた。
よ、よかった。これでもう安心だ。
張りつめていた気持ちが緩んで、頭がボーッとする。泣きじゃくる花嫁様を花婿様がしっかり抱きしめている様子をぼんやり眺めていたら、副社長が私の両肩を掴んで大声を張り上げた。
「亜寿佳! 亜寿佳しっかりしろ!」
副社長の端整な顔はすっかり青ざめ、限界まで見開かれた両目は、真っ赤に染まった私の胸もとを凝視している。
「大丈夫だ! 今すぐ救急車を呼ぶからな!」
「え? 救急車? それはさすがに大げさ……」
最後まで言い切らないうちに、私は強引に床の上に寝かされてしまった。キョトンと副社長を見上げている私のブラウスの襟元に、彼の手が伸びる。
ギュッと襟をつかんだ彼の大きな両手が思い切り左右に開いて、私のブラウスのボタンがブチブチと音をたてて吹っ飛んでしまった。
複数の乱れた足音と、副社長の叫び声が聞こえる。
見れば廊下の向こう側からメイクさんと、花婿様と、男性スタッフ数人を引き連れた副社長が血相変えて駆け寄ってきた。
「あの人よ! 早く取り押さえて!」
メイクさんが金切り声を上げ、男性スタッフが暴れる女性の体を床の上に難なく押さえつける。
奇声を発していた女性が、萎れる花のようにおとなしくなったのを見て、安心した私の全身から一気に力が抜けた。
よ、よかった。これでもう安心だ。
張りつめていた気持ちが緩んで、頭がボーッとする。泣きじゃくる花嫁様を花婿様がしっかり抱きしめている様子をぼんやり眺めていたら、副社長が私の両肩を掴んで大声を張り上げた。
「亜寿佳! 亜寿佳しっかりしろ!」
副社長の端整な顔はすっかり青ざめ、限界まで見開かれた両目は、真っ赤に染まった私の胸もとを凝視している。
「大丈夫だ! 今すぐ救急車を呼ぶからな!」
「え? 救急車? それはさすがに大げさ……」
最後まで言い切らないうちに、私は強引に床の上に寝かされてしまった。キョトンと副社長を見上げている私のブラウスの襟元に、彼の手が伸びる。
ギュッと襟をつかんだ彼の大きな両手が思い切り左右に開いて、私のブラウスのボタンがブチブチと音をたてて吹っ飛んでしまった。