バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
「きゃあぁ! な、なにするんですか!?」

 なんで私、副社長に襲われてるの!?

 安心した途端にまた理解不能な緊急事態に見舞われて、パニックを起こした私は顔を真っ赤にしながら大絶叫した。

 反対に副社長は、これ以上ないほど真っ青な顔をして、私に負けない大声で叫び返してくる。

「傷口を圧迫して出血を止める! 俺に任せろ!」

 き、傷口? 傷口って……。

 あ! ひょっとして副社長、勘違いしてる!

「ち、違います副社長。違うんです」

 必死になって胸を隠す私の両手を、副社長が力ずくで引き離そうとする。私はもう、顔から火が出そうになりながら半泣き状態で悲鳴を上げた。

「やめてやめて! 見えちゃう!」

「見せろ!」

「嫌です!」

 抵抗空しく私の両手は胸から外されて、ついにお気に入りのブルーのブラジャーが彼の目に晒されてしまった。

 嫌ぁ! 見られた!

 カーッと火照った全身から汗がドッと噴き出す。私は恥ずかしさのあまり本当に涙目になりながら、完全に誤解しているらしき副社長に切々と訴えた。

「この赤いの、血じゃありません。たぶんインクかなにかです」

「インク!? ……あ」
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