バージンロードで始めましょう~次期社長と恋人契約~
そのうちに、女性がチラチラと私に視線を投げかけ始めた。
物言いたげに私の胸もとを見ている様子にピンときた私は、慎重に声をかける。
「大丈夫です。ちょっと汚れただけですから。こちらこそ、先ほどは突き飛ばしてしまって申し訳ありませんでした。お怪我はありませんか?」
女性は少し驚いたように目を見開き、私の顔をまじまじと眺めている。
やがてコクリと小さくうなづき、消え入りそうな声で切れ切れに「すみま、せん、でした……」と答えた。
ちょうどそのとき、部屋の扉をノックする音がして、ゆっくりと扉が開かれる。
そこにはティーカップの乗ったソーサーを片手に持った副社長が立っていた。
「失礼。よろしければお茶でもいかがですか?」
静かな足どりで近寄ってきた彼が、上品な手つきで彼女の前にティーカップを置いた。
真っ白な陶器の縁に、グリーンのラインが一本入っただけのシンプルなカップの中に、深い紅色の液体が揺れている。
清々しさの中に豊潤さを併せ持つ、紅茶特有のあの香りが湯気と同時に立ち昇って、しみじみと心が和んだ。
やがて、ぼんやりとした目で紅茶を眺めていた女性が、たったひと言ポツリとつぶやく。
「私、あの人と結婚するって……信じていたんです」
物言いたげに私の胸もとを見ている様子にピンときた私は、慎重に声をかける。
「大丈夫です。ちょっと汚れただけですから。こちらこそ、先ほどは突き飛ばしてしまって申し訳ありませんでした。お怪我はありませんか?」
女性は少し驚いたように目を見開き、私の顔をまじまじと眺めている。
やがてコクリと小さくうなづき、消え入りそうな声で切れ切れに「すみま、せん、でした……」と答えた。
ちょうどそのとき、部屋の扉をノックする音がして、ゆっくりと扉が開かれる。
そこにはティーカップの乗ったソーサーを片手に持った副社長が立っていた。
「失礼。よろしければお茶でもいかがですか?」
静かな足どりで近寄ってきた彼が、上品な手つきで彼女の前にティーカップを置いた。
真っ白な陶器の縁に、グリーンのラインが一本入っただけのシンプルなカップの中に、深い紅色の液体が揺れている。
清々しさの中に豊潤さを併せ持つ、紅茶特有のあの香りが湯気と同時に立ち昇って、しみじみと心が和んだ。
やがて、ぼんやりとした目で紅茶を眺めていた女性が、たったひと言ポツリとつぶやく。
「私、あの人と結婚するって……信じていたんです」