私たちは大人になった
自室に入り、お風呂にも入らずにベッドにごろりと横になる。
頭を掠めるのは優のことばかり。
部活ばかりしていた学生時代にはこんなに恋に頭を悩ませるなんて思いもよらなかったことだ。
あの頃の私が今の自分を見たらなんと言うだろうか?
思えばこの恋は私をひどく臆病にした。
自分の気持ちに気づいたときも、卒業の時も、再開の時も何かにつけてこの気持ちは届かないから、と蓋をして。
気持ちを隠して付き合うことばかりが上手になっていった。
よく言うけれど、思っていた“大人”はもっと上手に生きてるものだと思ってた。
だけど、よく考えればわかる。
大人という境界線もあやふやなのに、昨日が今日になったからといって大人になれるわけでも、ましてや大人だからすべてが上手く行くわけなんてないんだと。
自分がしてきたようにしかならないのだ、何もかも。
私たちがこんな風になっているのも、すべて自分がそうしてきたからだ。
脳裏に浮かぶ優の顔は、大体の場面で仏頂面だ。
仏頂面でなくても無表情。
多分それは、優にとっては気を抜いている証拠なんだろうけど。
最後に私に笑顔を向けてくれたのはいつだろう?と思い出そうとして、やめた。
とても不毛だ。
あぁ、でもあの時は驚いてたな。
見た目にわかるくらいに、とても。