私たちは大人になった
道すがら言葉はなくて、緊張は増すばかり。
向かう先は優が泊る予定にしていたホテル。
私だってもう高校生じゃない、それなりの年齢だ。
キスのひとつで済む話じゃないことは理解している。
フロントで優が何やら話している後ろ姿を、私はロビーで腰掛けながら見つめる。
思えば卒業式の日だって勢いで口づけたけれど、その後優の顔さえ見れなかった、なんて、改めて思い出していた。
そっと差し出された手を取り、また手を繋いだままでエレベーターに乗り込んだ。
『今さらもう、帰すつもりはないから』
チーンと、エレベーターが到着を告げると共に呟かれた言葉にもう一度鼓動が高くなる。
望むところだと言うように、私はその手を強く握った。
カードキーで扉を開くと、そっと中に入れられた。
閉ざされた空間の中であの時とは違うキスを繰り返した。
やがてふたりの身体がベッドに沈み、私は未知の体験に足を踏み入れた。
身体がびくつき、息が上がる。
反応から優は私が“初めて”だと察したのだろう、ひどく優しく丁寧に私をほどいていった。