私たちは大人になった
同窓会にも参加しなければ、もう滅多に会うこともないだろうと思っていた優との再会はそれから間もなく。
ご両親の海外転勤と、優自身の転勤に合わせて実家に戻ってくると母伝いに話を聞いて、ぐるぐる回るまとまらない思考の中、スマホが知らない番号から着信を知らせた。
『もしもし?』
相手が誰かもわからないので、名乗らずに電話を取ると少しの沈黙が流れる。
訝しむと同時に、どこかで期待もしていた気がする。
『もしもし?』
『……元気?』
『元気、だよ』
再び声をかけると、一拍遅れた後に聞こえた優の声に胸は熱くなったし“やっぱり”という思いがどこかにあって思わず“好きだ”と溢しそうになった。
けれど次ぐ優の言葉に、好きと言う単語は喉の奥のもっと奥に追いやられた。
『番号、クラスのやつに聞いた。俺戻ってきたんだ。……慰めてよ』
戻ってきたのだから、心を交わすことができたはずなのに、優から出てきた言葉は“慰めて”。
忘れられなかった人は自分だと言う確証はなくて、言葉にならない気持ちはとても曖昧だ。
この気持ちはもしかして迷惑?
本当は誰か違う人を求めてる?
自分に自信なんかひとつも持てなくて、それでも湧き出てしまった恋心は好きな人を拒むこともできなくて。
『……いいよ』
考える間もなく、口からついて出ていた。