私たちは大人になった
「俺は、ずっとお前のことが好きだったし。好きだって言葉はなくても付き合ってるくらいの気持ちでいた。お前が俺のことを100%で好きでいてくれるかは分かんなかったけど、連絡とれば会ってくれるんだから好かれてると思ってたし」
「それって結構、勝手な言い分」
「始まりのきっかけが同情だったのかと思えば、好きだって伝えりゃ離れるかも、ってな。臆病なんだよ、俺は。でも、最近は会うたびに心から笑えてなかっただろ」
そう言われて、言葉に詰まった。
この関係を終わらせたくないと揺れていたのはお互い様だったのだ。
そして私は終わらせたくないけれど、前に進まないといけないのかと悩んでいて、会うたびに悩んでいて。
「お前にはやっぱり笑っててほしいなと思う」
優しく微笑まれて、手を取られる。
「俺、両親が帰ってきたらこの家出るよ。その時、一緒についてきてくれない?」
心臓が、早鐘を打つようにバクバクと主張する。
多分それは、優も同じだ。
だって繋がった手が冷たい。
緊張は本当の気持ちの印だ、嬉しくないわけがない。
「話、飛躍しすぎ。順序ってどこ行ったのよ」
「もう今さらだろ。ここまで忘れられなかったんだから多分ずっと好きだと思うし、今までの関係だって俺はずっと付き合ってるつもりだったんだし」
繋がっている手がじんわりと熱を帯びてくる。
必死に言いくるめる優の言葉を遮って、素直な気持ちを伝えた。
「嬉しい」
「え?」
「その時は一緒に、つれていって」