勇気のカケラ -いじめに負けないで-


それを聞いて、私は愕然とした。


自主練習の時に休めるといっても、それは先生の目を盗んで休む、ほんと束の間の時間。

1年生に休憩時間というものはないのだ。


それよりも、皆よりも3ヶ月以上も遅れをとって入部した私にとっては、自主練習の時に休憩しているどころじゃない。
そんなことしていたら、どんどん皆と引き離されてしまう。


決して半端な気持ちで転部を決めた訳じゃない。


でも私は、今までとは正反対とも言える部活生活についていけるのか、馴染んでいけるのかとても不安に駆られた。



「それにしてもさぁ」



話を遮るように発せられた声。声の主は萌だ。


「美由紀はなんで卓球部に転部しようと思ったん?他にも部活がある中で、何で卓球部だったん?」

「あー!それ、私も気になったー!」


麗華が萌に同調して声を上げる。


「それもだし、何でこんな中途半端な時期に?さっき菜美から聞いたんだけど、美由紀って前は美術部だったんじゃろ?」



ーーーそう。


私は卓球部に転部する前までは美術部に入っていた。

卓球部とは違い美術部は、決められたルールや決まりもなく好きな時に行ったり帰ったりできるような自由な部活だった。
仲のいい友達もいて、美術部で過ごす時間はとても楽しいひと時だった。

それなのに何故、私は転部をすることに決めたかというと。




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