颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

持ってるひとは、いくつも、持ってる。桐生颯悟みたいに。
持たないひとは、なにも持たない。私みたいに。世の中は不公平なのだ。

背後から足音が聞こえた。スタッフさんだ。桐生颯悟もはたと気づいて笑顔を浮かべる。この素早さにあきれを通り越して尊敬の念すら浮かぶ。


「おまたせしました、ひまわりナッツミルクティです」
「ありがとう。おいて?」


にこにこにこにこ。愛嬌のいい桐生颯悟。それを見た女性スタッフの頬がぽっと赤くなる。はいはい、だまされるなーっ!

テーブルに2つのカップが置かれた。


「うわ……」


おそらくミルクティが注がれたその上には、たっぷりのホイップクリーム。砕かれたひまわりの種とアーモンドダイス、シナモンパウダーが振りかけられていた。ソーサーに添えられてるのは、ティースプーンとハムスターのイラストが描かれたクッキー。

かわいい! 香りもいい! そして美味しそう!!
都会ってこんなすごいものが。さすが東京。心が躍る。

って、待て。
同じものを注文したということは桐生颯悟もこんなかわいいものを……?

思わず向かいにいる桐生颯悟の顔を見つめる。
彼もにんまりとカップを見つめている。さっきスタッフに向けた笑みとは少し違う。

なんだろう、こう、目が輝いてるというか。にやけてるというか。萌え的な?

腹黒性格悪長身イケメン御曹司がひまわりナッツミルクティににやけてるなんて、なんたるギャップ。
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