颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
あまりの不釣り合いさに、おかしくなってきた。笑える……。
「くくく……」
声をこらえられず肩を震わせると、カップを見つめていた桐生颯悟が私を睨んだ。
「わ、笑うな」
「いやでも。このギャップを笑うなと言われても生理現象ですし」
「それでも笑うなっ!」
桐生颯悟の白い頬がほんのり赤くなった。
わ、ホントに照れてる?
恥ずかしいのか彼は、ぷい、と顔を背けた。
ちょっと、カワイイ。
そんな桐生颯悟は頬を赤らめたまま、カップを持ち上げて口を付けた。ひとくちすすって、優雅にソーサーにおろすと、今度はスプーンでホイップクリームをすくう。それを口に運んだ瞬間、彼の頬が緩んだ。好きなんだ、ひまわりナッツミルクティが。彼の仕草からそれが伝わってくる。
「まだ笑ってんの?、キモ……。早くしないとホイップクリームが溶けてこぼれるよ?」
「え、ああっ!」
私のカップからホイップクリームがダラリと垂れていた。私は慌てて、前傾姿勢をとってカップに口を付け、すする。うわ、なに、これ。ホイップクリームが口の中でさらりと溶ける。全然しつこくない。一緒に吸い込んだミルクティもコクがある。鼻からはシナモンとナッツの香ばしい匂い。