颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
帰宅して、お風呂に入ったあとはリビングのソファで文庫本を広げた。

文字を目で追っても物語が頭の中に入って来ない。
だって、なんとなく、気になってしまう。佐藤課長の言葉。


『コミュニケーション取れてんのか?』
『情報は共有しとかないとすれ違うだろ?』


専属秘書の話があるなら教えてくれてもいいのにと思う。上層部の機密事項ならいざ知らず。

話してくれないのは私が頼りないから?
牧田さんみたいに聡明な女の子だったら、仕事の話もしてくれるのかな、とか。

いやいや、私に話すほどの内容じゃないのかも。
でも……。そもそも桐生颯悟は仕事の話は私にはしない。

午前0時を回ったところで、玄関でガサガサと物音がした。
桐生颯悟が帰宅したらしい。

ソファから立ち上がった私を見て目をまあるくした。


「お、お帰りなさい」
「みのり、起きてたの?」
「えっと、その、本読んでたら眠れなくなってですね」
「ひとりの夜にホラー読んじゃだめでしょ」


桐生颯悟は私の前に来ると頭をポンポンした。
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