颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
まあ、果たして、当日朝。
雲ひとつない晴天のもと、桐生颯悟はゴルフコンペへと旅立っていった。
私は部屋にこもったまま、見送りには出なかった。あんなこと言われて、どんな顔をして会えばいいか分からなかったから。
頭冷やせなんて。バカだなんて。
バカなのも頭冷やしたほうがいいのも桐生颯悟のほうだ。
玄関のドアがしまった音を確認してから部屋を出た。
桐生颯悟のいないリビングはガランとしていて、寂しくて。無人島に置き去りにされたみたいで。
たまった洗濯物を干して、リビングの床をモップ掛けして、お風呂場とキッチンも掃除して。貯まっていた積ん読の文庫本を読み漁って、デザイン関連の雑誌を眺めて。
適当にごはんも作って、でもカウンターでひとりで食べるごはんは味気なくて。
ひとりで飲むコーヒーも香りがしなくて。
時計を見ればまだ午後3時。桐生颯悟が帰宅するまで24時間以上もあるのに。
ぶんぶん。頭を振る。
あんなやつ……。
キンコーン、とドアベルが鳴った。