颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
富裕層のひとたちの恋愛感覚がつかめない。
そういうものなんだろうか。
桐生颯悟に庶民の感覚を求める私が間違いなんだろうか。


「ね、なに考え込んでんのよ。私の言うことが信じられないわけ? そもそも私をここに寄越すのがおかしいわよ。みのりは寂しがり屋だから今夜一緒にいてあげて?、なんて甘いこと言ってるけど、ホントは見張りを立てたかったんじゃない?」
「ええっ! そんな」
「なら、電話してみたら? この時間なら宴会中よ、出れば騒がしいはず。静かなところにいればイチャイチャ中。ほら、いいから電話しなさいよ」
「でも、この状況でなにを話せと」
「いいじゃない、颯悟さんの声が聞きたかったのぉ~、とか甘えれば」
「まあ……うん……え、ええっ!?」


私が返事をする前に祐理恵さんは私のスマホを取り上げ、操作している。
差し出されたスマホの画面には桐生颯悟の文字。プルルルルと呼出音を鳴らしていた。

どうしよう、どうしよう。
桐生颯悟の愚行を許すつもりもないのに、なにを話せというのか。
それにアハーンな声が聞こえてきたらどうリアクションすればいいの。


「ちょ、ちょ、ちょっと!! へ……?」


“お客様のおかけになった電話番号は現在電波の届かないところにおられるか電源が入っていないためかかりません”


「嘘……」
「ほらね。電源切ってんのよ。つまりはイイコトしてんのよ、アンタに隠れて。ボッキュッボーンのナイスバディ秘書とやらしいことしてんのよ!」
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