颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「こんなに笑ったの、久々!」
こんなにバカにされたの、久々。
今度はちゃんとカップを持ってミルクティを飲む。優しい甘さのそれに、キリキリしていた気持ちが平らになっていく。ほっこりして、心も指先も温かくなった。
不思議な飲み物、不思議な空間。また来たい。そんなことを考えながら、添えられたクッキーを小さく割って口に入れた。視線を感じて桐生颯悟を見る。
ほんの少しだけ、笑っていた。優しい笑み、というか。
「ふうん。やればできるじゃん? そのほうがずっとかわいいよ」
「あ、またからかうつもり?」
「よくわかったね。じゃあオレ、会計するから。外で待ってて」
そのほんの少し優しい桐生颯悟の顔に、自分の分は自分で、と言おうとしてやめた。その代わりに、うん、と私はうなずいた。席を立ち、ドアに向かう。桐生颯悟はカウンター内にいる女性スタッフに会計を頼みつつ、世間話をしている。いつもありがとうございます、この前帰るとき雨に降られませんでしたか?、という女性の問いかけに桐生颯悟は常連客だとうかがえた。
女性スタッフはアラフォーとまではいかないけど、私より年上と見た。黒髪を編み込みにした、質素で地味な優等生の雰囲気だ。
カフェを出て、交差点を渡り、タワーマンションへ向かう。1階はちょっとしたショッピングモールになっていて、スーパーのほかにも小さいけれど酒店やドラッグストアも入っていた。
こんなにバカにされたの、久々。
今度はちゃんとカップを持ってミルクティを飲む。優しい甘さのそれに、キリキリしていた気持ちが平らになっていく。ほっこりして、心も指先も温かくなった。
不思議な飲み物、不思議な空間。また来たい。そんなことを考えながら、添えられたクッキーを小さく割って口に入れた。視線を感じて桐生颯悟を見る。
ほんの少しだけ、笑っていた。優しい笑み、というか。
「ふうん。やればできるじゃん? そのほうがずっとかわいいよ」
「あ、またからかうつもり?」
「よくわかったね。じゃあオレ、会計するから。外で待ってて」
そのほんの少し優しい桐生颯悟の顔に、自分の分は自分で、と言おうとしてやめた。その代わりに、うん、と私はうなずいた。席を立ち、ドアに向かう。桐生颯悟はカウンター内にいる女性スタッフに会計を頼みつつ、世間話をしている。いつもありがとうございます、この前帰るとき雨に降られませんでしたか?、という女性の問いかけに桐生颯悟は常連客だとうかがえた。
女性スタッフはアラフォーとまではいかないけど、私より年上と見た。黒髪を編み込みにした、質素で地味な優等生の雰囲気だ。
カフェを出て、交差点を渡り、タワーマンションへ向かう。1階はちょっとしたショッピングモールになっていて、スーパーのほかにも小さいけれど酒店やドラッグストアも入っていた。