颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「ということは新居で別居」
「オイシい話だと思うけどぉ? にしても、生活感がない部屋だねぇ。引っ越しから1ヵ月以上経ってるのになんでまだ段ボールが積んであるのさ?」


母が荷解きをしているのは私の荷物。

引っ越ししてすぐに桐生颯悟の部屋に引きずり込まれたから、すぐに使わない季節ものはまだ段ボールに詰め込まれたままだった。


「ええええっと……こ、この部屋、会社から遠くて、か、会社の、ととと友だちのところに泊めてもらってて。あまり帰って来てなくて」
「冷蔵庫もからっぽじゃないの。外食ばかりしてんの?」
「そ、そんなことないよ。ここ2、3日、風邪ひいて友だちのところに泊めてもらってたから」
「風邪ひいてたのかい?」
「うん。でも友だちに大根湯を作ってもらって飲んだらすぐに治った。やっぱり大根湯効くね」

「そう。友だち友だちって、そんなにお世話になってるなら紹介してちょうだい。母さんからもお礼を言いたいから」

「う、うん……」


と、一応返事はしてみたものの、紹介なんてできっこない。

友だちでも恋人でもないみたいだし。男だし。

桐生颯悟、どうしてるだろう。帰宅して私がいなくて寂しいなんて思ってるだろうか。



*―*―*

翌朝。東京見物をする母とマンションを出た。母はホルターネックのカットソーにスリッド入りのタイトスカート。今日はミニでないだけマシかもしれないが、ピンヒールでモンローウォークする彼女に通勤途中の殿方たちは釘付けだ。

日中はスカイツリーと浅草見物、夜は六本木でクラブ漁りとか。
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