颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
……ぬ?

「佐渡って、あのトキで有名な佐渡ですか?」
「そうです!」
「ひょっとして日本海に浮かぶあの島ですか?」
「そうです! 新潟県の佐渡です! まさかお受けになってませんよね??」
「え、いや、その……受けましたけど。はは、はは、ははははは……」
「受けたんですか? 受けたんですね……」


牧田さんが心配そうに私の顔を覗き込む。

佐渡。
どう考えても桐生颯悟のマンションからは通えませんけど?

目の前が真っ暗になった。


*―*―*

ふらふらになりながら広報部にもどる。佐渡に出向だなんて。桐生颯悟と離れ離れだ。

両想いなって、ようやく心身ともに結ばれて、これから恋人関係を謳歌しようと思っていたのに。

例えばデート。
映画とか、ウィンドウショッピングとか、遊園地とか、図書館とか、プールとか。

食事だってはむはむカフェ以外の、例えば料亭とか、フレンチとか、アジアン系とか。

ふたりでいろんなところにいって、いろんなことして、いろんなもの食べて、あーだこーだ言いながら同じ時間を過ごしたかったのに。

佐渡。ここからどのくらい掛かるんだろう。スマホの地図アプリで検索してみる。
う。新潟市まで電車にしろ車にしろ4時間、佐渡は海に浮かぶ島で、当然ながらその先は船舶だ。ジェットフォイルと呼ばれる高速船で1時間。日帰りでの渡航は不可能ではないかもしれないけど、それも現実的ではない気がする。
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