颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「へ?」


私は肩すかしを食らった気分になった。桐生颯悟は喜んではいない。むしろ反対しているようだ。


「颯悟さん、ひょっとして私と離れるのがイヤだとか?」
「バカ。だから、キミ、浅はかすぎ」
「そんな恥ずかしがらなくても」
「バカ。ホントにバカ」


とうやら桐生颯悟は本当にあきれているようだ。
斜め下に私を見下ろし、再び、バカとつぶやいた。


「どうしてですか。私、バカじゃありません。考えての上ですよ」
「どうせキミのことだから、今回のプロジェクトを成功させて社長に認めてもらおうって魂胆でしょ?」
「ぐ……」


桐生颯悟は斜め下に私の顔を見下ろすと、はああ、と盛大にため息をついた。


「図星なんだね。ホント単純、バカ」
「でもですね」
「なに? 反論があるわけ? そんな簡単に父さんがキミのことを認めるとでも思ったの? そんなにキミはスペックが高かったの? 単純だしお人好しだし、不細工だし胸はないし学歴はないし、家柄だっていたってフツーでしょ? 持ってるのは土地ぐらい? しかも仙台の田舎町のはずれだし」
「そこまで言わなくても」
「そこまでいわなきゃ分かんないのはキミでしょ。佐渡で成果を上げてもそれを打ち消すだけの効果はないじゃん」
「え、まあ、そうですけど……」
< 304 / 328 >

この作品をシェア

pagetop