颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「さ……寂しくないんですか、颯悟さんは」
「キミは寂しいわけ?」
「そりゃあ寂しいに決まってるじゃないですか。だってやっと恋人になれて、あんなことやそんなことや、その、いろいろイチャイチャしたいと」
「ふうん。キミにとってはヤルことが恋人の証で、毎晩ヤりたかったってこと?」
「そ、そうは言ってません。けど」
「けど?」


気怠そうに桐生颯悟はソファから立ち上がり、私の前に来た。
顎を上げて見下して、鋭い瞳で私の顔を見つめる。

キス? でもそんな甘い雰囲気じゃないような。


「そ、颯悟さん……? え、あの、んむむむむっ☆§●※▽■〇×?!」


左右の頬をグイとつままれ、びいっと横に伸ばされた。痛い。涙が出そう。


「キミが決めたことでしょ。せいぜい頑張ってきなよ」


そう言い捨てて、桐生颯悟は上着をソファに脱ぎ捨てるとカウンターの向こうにあるキッチンに入った。いつもの黒いエプロンをかぶり、冷蔵庫を開ける。タッパーに漬けていた白身魚をアルミホイルで包んだ。

無言。そして私の方を見ようとしない。カチャカチャと音を立てて作業も荒い。これは怒っているようだ。
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