颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
ぶすくれた表情の桐生颯悟。朝からずっと不機嫌だったけれど、輪をかけて不機嫌になった。

夜はあんなにかわいかったのに。

年下だけどリードはちゃんとしてくれて、時折、甘えた声ですり寄ってくるあたり、なんというかズルかった。ガンガン攻めていたかと思えば突如、体勢をひっくり返して、「今度はみのりがして?」と下から上目遣いに見上げてきたり。

あの艶っぽい顔といったら。あのかわいい声といったら。

ぎゅーんと胸を鷲掴みにされたようで。

一緒に迎えたときは全身が溶けてしまいそうなほど、気持ちよくて。

ピロートークも激甘で。しゃべるのかキスするのかどっちかにして、と言いたいくらいキスの嵐で。

なのに。今朝から概ねアグリー状態。
まるで多重人格者だ。


「あのぅ、なにか」
「席って普通の指定席でしょ?」
「はい。会社の経費で指定席はまずかったですか?」
「そんなこと怒ってないよ。なに、新潟まで隣同士なわけ? しかも普通席って隣のひとの肩がぶつかるくらい狭いじゃん。そんなところに3時間も……」


はい、いただきました!
桐生颯悟のヤキモチ!


「そ、颯悟さん、それはヤキモチ、ヤキモ……☆§●※▽■〇×?!」
「うるさい」


唇をつままれ、びょーんと前に引っ張られ。
痛いけど、目の前には頬を赤く染めた桐生颯悟がいるわけで。
< 310 / 328 >

この作品をシェア

pagetop