颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)

ペーター徳田の顔から笑みが消えた。真剣な眼差しで私を見つめる。


「遠距離恋愛に酔ってるんですか? あんなの演技ですよ。麦倉さんは捨てられたんです」
「はい?」
「だって反対しようと思えばできたはずですよ? 麦倉さんと手を切りたかったから佐渡に出向させた。それが証拠に颯悟副社長はお見合いでしょ。相手はアジアに拠点を置く商社のご令嬢で、英語、中国語、ポルトガル語ペラペラのバイリンガル。父親の仕事の都合で海外生活が長かった、いわゆる帰国子女。でも日本の伝統文化も身につけさせたいとお茶お花着付けもできるらしいですけど」


ぐっ。ずっと日本で暮らしてきた私より日本人らしそうだ。

あれ。やばくないか?
桐生颯悟は和もの好きだ。


「いやいや、私が聞きたいのはそうじゃなくて」
「麦倉さんに勝ち目はありませんよ」
「ええ、まあ、そうかもしれませんけど。だからですね、徳田さんは」
「だから僕に乗り換えませんか?」
「はい?」
「僕は麦倉さんが好きなんです。美術館で初めて会ってかわいいなと思って、同じ会社に勤めててしかも出向だなんて、運命感じて」
< 316 / 328 >

この作品をシェア

pagetop