颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「揺らぐわけないですか」
「じゃあ、いいですよね? この部屋でも」



ニコニコ。ペーターは笑う。
くそ〜っ、はめられた。まんまと彼の挑発に乗ってしまった。


*―*―*

そのあとは出向先の会社に出向いて挨拶し、会社の中を見学者のように回った。ホテルからは徒歩5分という好立地で、途中にはドラッグストアもあって、生活には不自由しなさそうだった。今日は長旅で疲れただろうからと歓迎会は明日に設定され、さっさと帰された。

ふう。部屋に入ってため息をつく。パーティションの向こうではペーターは鼻歌を歌っている。いくら私に惚れてるとはいえ、襲ってくることはないだろうし、私も欲情することもないけれど、何というか落ち着かない。桐生颯悟意外の男がすぐそばにいるなんて。

私のスマホが電子音を鳴らす。着信だ。見れば桐生颯悟。私はウキウキして画面をタップした。


「みのり、今大丈夫?」
「はい! 超大丈夫です。今日は挨拶だけで終わったんで、勤務外です!」


そう、と桐生颯悟は柔らかいため息をついた。


「どうしたんですか? 颯悟さん」
「ん? みのりとキスしたいなあって思って電話しただけ」
「そ、颯悟さん?」

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