颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
その手をハエのごとく、たたき落としたかったけれど、途中で手を止めた。ペーターはじっと私の目を見つめていたのた。あまりの真剣な眼差しに躊躇してしまったから。

牧歌的な顔なのに、どこか情熱的で。
なんというか、羊飼いペーターも男なのだと思わせる色気。

これがギャップというやつか。


「ホントに可愛いですね、麦倉さん。顔も僕の好み、ストライクですし、仕事に対する姿勢も好きです。僕ダメなんですよね、美人でも仕事はイマイチってひと」
「それは暗に私が美人でないとおっしゃりたいわけですか?」
「まあ、それは否めませんけど」


否定しないのか、おい。
クスクスと笑いながらペーターは私の頬から手を外した。


「麦倉さんの可愛い顔を見ていたいですけど、仕事もしましょうか。これからは毎日、あなたのそばにいられるんですし」


ペーターはパソコンのモニターに視線を移した。

*―*―*
まあ、そのあとは日付が変わるくらいまで仕事をし、仕切りのパーティションを閉めてそれぞれに就寝。でも波の音に混じって聞こえる寝返ったときの布団の音とか、微かな寝息になんだか落ち着かなかった。

そういうの、あんまり気にする方じゃなかったのに。

近くに聞こえる生活音が桐生颯悟によるものでないのは違和感でしかない。相当に毒されてるな、桐生颯悟に。
< 326 / 328 >

この作品をシェア

pagetop